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2005年08月08日

第3回 経理入門 仕訳

前回、借方貸方は、天秤ばかりの左と右であり、天秤が吊り合うように(借方貸方の金額が同じになるように)お金の動きを記録して積み重ねていくと、常に天秤は吊り合っている(借方貸方が同じ)...これが複式簿記であるということを説明しました。

このお金の動きの記録のことを仕訳と呼ぶわけですが、今回は、この仕訳について説明したいと思います。

動いたお金を吊り合うように天秤に乗せてみると、下の図のようなイメージになります。
でも、これでは、どこからどこへ動いたのかわかりませんね。
image_003_1.gif
実は、このお金は右(貸方)から左(借方)へ動きます。

代表的な3つのケースを図にしてみました。
image_003_3.gif
image_003_2.gif
まず、上の図の(a)お金を借りた場合を考えてみましょう。
例として、銀行から現金100万円を借りたとします。
この時、お金は貸方から借方へ動くので、負債から資産に動くことになります。
実際に、銀行のお金が100万円減って、自分のお金が100万円増えました。

ところが、自分を中心に考えれば、借金(=負債)は増えたと考える方が自然です。

そこで、前回の最後に書きましたように、資産費用が左側(借方)、負債収益が右側(貸方)に配置されていることが重要になってきます(右図)。
複式簿記では負債はマイナスの資産という意味で貸方に配置し、マイナスのマイナスでプラスにするという工夫がされているのです。

つまり、このケースでは、借方に配置されている資産が天秤の左(借方)にあるので、資産は増え貸方に配置されている負債が天秤の右(貸方)にあるので、負債も増えるということになります。
本来、天秤の右(貸方)にある場合は右から左へ動くので減るべきところを、負債貸方に配置されていて立場が反転するので、逆に増えると考えるわけですね。

では、(b)売上があった場合はどうでしょうか。
この時、お金は貸方から借方へ動くので、収益から資産に動くことになります。
実際に、お客さんのお金が減って、自分のお金が増えました。

そして、借方に配置されている資産が天秤の左(借方)にあるので、資産は増え貸方に配置されている収益が天秤の右(貸方)にあるので、収益も増えます。

(c)経費を使った場合も見てみましょう。
例として、文房具店で事務用品を現金で買ったとします。
この時、お金は貸方から借方へ動くので、資産から費用に動くことになります。
実際に、自分のお金が減って、文房具店のお金が増えました。これは、現金(=資産)が事務用品(=費用)に化けたと考えてもらってもかまいません。

そして、借方に配置されている費用が天秤の左(借方)にあるので、費用は増え、同じく借方に配置されている資産が天秤の右(貸方)にあるので、資産は減ります。

どうですか?仕訳の規則が見えてきたでしょうか?
仕訳の規則...それは仕訳借方・貸方と配置の借方・貸方同じだったら増え、違ったら減るということです。
今はまだ、ピンとこないかもしれませんね。
ここでは、とりあえず右の資産、負債、費用、収益の配置図を覚えておくと、今後何かと役に立ちます。

さて、複式簿記では、この仕訳お金の動きの記録)を積み重ねていく訳ですが、仕訳が積み重なるとどうなっていくのでしょうか。

この続きは次回としたいと思います。

投稿者 IJssel : 2005年08月08日 10:00

コメント

江森様 コメントありがとうございます。
確かに、どう説明しても、借方貸方は難しいですね。
この時はまだ「勘定科目」という用語を使っていないのですが、借方貸方という用語には、勘定科目のポジションとしての意味と、仕訳の左右の意味と2種類あるのです。
これが、混乱する理由だと思います。
資産の勘定科目としてのポジションは常に左(借方)です。
(c)の経費を使った場合は、仕訳の右(貸方)に資産を持ってくることで、資産を減少させます。
やっぱり、わかりにくいですね。すみません。

投稿者 IJssel : 2005年10月16日 12:16

借方、貸方へ
資産、負債、収益、費用の
金額を記入する際、
常に、右(貸方)から左(貸方)へ
お金が流れる法則で
配置記入するルールに成っている
と理解すれば良いのですか。

投稿者 江森和男 : 2005年10月16日 10:12

この説明では、
cで、何で図では左側にある資産が
天秤では、右側に配置されるかが判りません。
天秤で、費用が右側(貸方)、資産が左(借方)
でもいいんじゃないですか。

投稿者 江森和男 : 2005年10月16日 10:09