在宅ワーカーと確定申告

前回の連載からずいぶん経ってしまいました。ごめんなさい!そろそろ申告のことが気になってくる季節ですね。 第2回目は「はじめての白色申告(1)」をお届けします。
これから書く記事内容に「所得金額」「基礎控除」「所得から差し引かれる金額」「課税される所得金額」など、日常では馴染みのない用語が出てきます。 これらは確定申告書に書かれている用語です。まだ確定申告書を見たことがない方には、ピンとこないかもしれませんが、ちょっとだけ記憶しておいてください。申告の際、「あぁ、これか!」と思い出すことでしょう。

第2回 はじめての白色申告(1)

白色申告とは

フリーの場合の確定申告には、青色申告と白色申告があります。

ここでは詳しく書きませんが、青色申告は税務署に事前に届出が必要です。取引を記録(記帳)する義務も生じます。

白色申告は税務署に事前に届出の必要はありません。領収書等を整理保存するだけで記帳する必要もありません。青色申告の届出を税務署にしていなければ、白色申告になります。確定申告に必要な書類は、最寄の税務署でもらってください。「白色申告の用紙をください」と伝えれば、書類を用意して渡してくれます。

税金はいくら払ったの?

結局、税金をいくら払ったかが一番気になるところだと思います。結果から先にお話しますと、私がはじめて白色申告した時の納税額は2万2千円でした。売上は80万円です。

いかがです?びっくりするような納税額ではないと思いませんか?在宅で仕事をはじめたばかりの頃、申告したらいったいいくら税金を払わなければならないのか、皆目検討がつかない時は、ごっそり持っていかれるようなイメージを抱いていました。

売上全てが課税対象となると、ごっそり納税することになりますが、実際はそうではありません。そのためには、売上全てが課税されないために必要な準備をし、計算しなければなりません。これが確定申告なのです。

「はじめての白色申告」は2回にわけてお届けします。1回目は納税額を求めるためにどんな計算をしたか、その計算をするためには何が必要かについてお話します。

納税額を求める計算式

まずは納税額を求める計算式から見てみましょう。3段階の計算が必要になります。(1)を計算したあと、(2)を計算し、最後に(3)を計算します。(3)で納税額が算出されます。

(1)80万円(売上) − 20万円(経費) = 60万円(所得金額)

(2)60万円(所得金額) − 38万円(所得から差し引かれる金額) = 22万円(課税される所得金額)

(3)22万円(課税される所得金額) × 10%(税率)   = 2万2千円(納税額)

3つの計算式の中で、売上全てが課税されないために大事な金額は「経費」と「所得から差し引かれる金額」の2つです。また、この2つは、上記の計算をはじめるまでに金額を明確にしておかなければなりません。事前準備が必要です。特に「経費」はこの計算式とは別に集計しておく必要があり、手間がかかります。

では、「経費」と「所得から差し引かれる金額」以外は事前準備が必要になるでしょうか?

「売上」は1年間(1月から12月まで)で稼いだ金額(収入)の合計です。これも事前に準備しておく必要がありますが、経費ほどの手間はかかりません。

「所得金額」と「課税される所得金額」と「納めなければならない税金」は計算式の答えですので、事前に準備する数字ではありません。

「税率」は、「所得税の確定申告の手引き」に記載されています。これによると「課税される所得金額」が1,000円から3,299,000円までの税率は10%となっています。※変動するかもしれませんので、必ず「所得税の確定申告の手引き」で確認してください。

所得税の確定申告の手引きは、税務署にあります。確定申告の用紙をもらいにいくと必ずついてきます。

次は、事前準備が必要な「経費」と「所得から差し引かれる金額」についてお話します。

経費

申告で一番手間がかかるところといえば、ここです。経費です。

経費とは、仕事をするために必要な費用のことです。必要経費ともいいますよね。

私の場合ですと、
プロバイダ料金、レンタルサーバ代、電話代(※)、電気代(※)、切手代、プリンタ用紙、プリンタインク、仕事のために必要だった書籍、打ち合わせで外出した際の交通費、等を経費として計上しました。

電話代や電気代は、支払い先は、NTTと東京電力、それぞれ一箇所ですが、家庭で使用する分も含まれています。そのため全額は経費として認められません。仕事用として3割使用していると思う場合は、支払った金額の3割を経費とします。

ここで、経費を計上するために大切なことをあげてみます。

・領収書やレシートの保管
1月から12月までの1年間の領収書やレシートが経費の証拠となりますので必ず必要です。この領収書やレシートの合計が上記の計算式(1)の経費になります。また、これはしばらく保存しておかなければなりません。私は娘の使用済みのノートに、領収書やレシートを糊でペタペタ貼って保存しています。

・科目ごとに集計する
申告の際には「確定申告書」のほかに「収支内訳書」(用紙は税務署でもらいます)を提出する必要がありますが、この中に、経費の欄があり、旅費交通費、通信費、消耗品費などの項目にわかれています。 この項目を科目といいます。つまり、経費は科目ごとに集計しておかなければなりません。

科目ごとに集計する、というのが文面を読んだだけで手間がかかることがわかりますね。これについては、次回「はじめての白色申告(2)」でお話したいと思います。

所得から差し引かれる金額

私の場合、この「所得から差し引かれる金額」は38万円でした。これは「基礎控除」にあたります。

「基礎控除」は誰にでも適用されます。「基礎控除」の金額は38万円。ここに税金はかかりません。つまり、年間の所得金額(売上から経費を引いた額)が38万円以下の場合は、税金をおさめなくても良いということになります。

「所得から差し引かれる金額」には「基礎控除」以外にも「医療費控除」「社会保険料控除」「生命保険料控除」「扶養控除」などがあります。国民年金を支払っている場合は、社会保険料控除欄に金額を記載します。

詳細は、税務署からもらえる「所得税の確定申告の手引き」に載っています。


今回は以上です。経費が一番ボリュームがありますね。科目ごとに集計する、というのは手計算では現実的ではありません。そこで次回「はじめての白色申告(2)」では、どのように売上を集計し、どのように領収書やレシートを入力し、どのように経費を科目ごと集計したか、についてお話します。

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著者プロフィール
2001年から在宅ワークを開始。さまざまな業務を経て、2004年からはWEB制作のみで活動しています。手がけるサイトは小規模サイト。成果を出すことを常に意識しながら、制作と運営を請けています。

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