在宅ワーカーと確定申告

前回、はじめての白色申告(1)では、納税額を求める計算式など、結果から先に書きました。
今回は、納税額を求める計算式に必要な「売上の集計」、「経費の集計」について書きますね。ここが一番ボリュームがあります。ここを抑えれば、ゴールは目前!

第3回 はじめての白色申告(2)

必要なもの、用意するもの

●確定申告書

提出するのは「確定申告書」と「収支内訳書」です。税務署に行って「白色申告したいのですが」と言えば、「確定申告の手引き」などと一緒に揃えて渡してくれます。 「確定申告の手引き」には、所得税の仕組みや用語の説明から、申告書の書き方、添付しなければならない書類などが書いてありますので、必ず目を通しておきましょう。

●領収書やレシートの整理

月別にクリップでまとめておくと入力しやすいと思います。と同時に、どの科目にするか検討がつかないときや、 全額経費にできないもの(電話料や電気代など)があるときは、科目を事前に調べたり、経費にする金額をメモしておくとスムーズに処理がすすみます。 そのために、入力する前に領収書や、レシートにひと通り目を通しておきましょう。

●支払調書

取引先から報酬が振り込まれる際、源泉徴収されている場合は、支払調書が必要です。

源泉徴収されているということは、取引先があなたの代わりに税務署に所得税を納めているということですので、確定申告であなたはこの報酬の所得税を納める必要はありません。これを証明するためには取引先が発行した支払調書が必要です。

支払調書に記載されている源泉徴収税額は確定申告書に記載しなければなりませんし、支払調書は確定申告書に貼付する必要があります。

1月後半から2月以降になると、取引先から支払調書が送られてくると思いますが、2月中旬になっても届かないようでしたら、送ってもらうよう早めに連絡しましょう。

●使用した表計算ソフト

データを集計したり、並び替えたり、金額を訂正したりしますので、表計算ソフトが便利だと思います。
私はエクセルを使用しました。

在宅ワークをはじめた頃は、エクセルがとっても苦手でした。そんなときに集計した方法ですので、初心者レベルの集計方法です。

売上の集計

エクセルで項目を「作業月」「取引先」「仕事の内容」「金額」「入金日」「入金先」「備考」と設定し、月ごとに金額を入力しました。
※エクセルで作成した「売上集計表」です。

「金額」の合計を収支内訳書の売上金額に転記します(私の場合は80万円)。
※収支内訳書をご覧ください。赤字の上が売上(収入)金額を記入するところです。

経費の入力

●領収書orレシートの入力

エクセルに設定した項目は「日付」「科目」「摘要」「金額」「備考」です。
漏れをチェックするために月ごとに入力しました。そのためには領収書orレシートを月ごとにクリップでとめる準備が必要です。
※入力が終わったエクセルの表です。データが月ごとに並んでいます。

●領収書orレシートがないもの

・交通費
手持ちの紙に、日付、どこからどこまで、金額、用件(例:打ち合わせ)を書いて保存しておけばOKだと思います。この紙をノートに貼付しました。

・クレジットカード支払い
例えば、プロバイダーへの支払いは、カード支払いの契約をしています。
私の場合はカード会社から毎月届く「利用代金明細書」を保存しておきました。
「利用代金明細書」の中には、仕事の経費にできないものも記載してありますので、経費計上した明細は、ひと目でわかるように、赤いボールペンで印をつけて、エクセルに入力し、入力後の「利用代金明細書」はノートに貼付しました。通帳の明細のコピーでも良いと思います。

●電気代など全額経費にできないもの

電気代には自宅使用分も含まれていますが、電力会社から届く領収書は1枚のみですね。
仕事用として3割使用していると思う場合は(自分で決めて良いのです)、年間の使用料に30%をかけて求められた金額を経費として計上します。
私の場合は、年間の電気代が109,082円でした。そのうちの3割、32,725円を経費として計上しました。領収書はノートに貼付しました。

経費の集計

収支内訳書への経費の金額は、科目ごとに転記しますので、入力が終わったあと、科目ごとに集計しなければなりません。
エクセルは優れた表計算ソフトですので、便利な使い方はたくさんありますが、当時は初心者ということで、以下のようにしました。

・科目ごとの並び替え
(1)科目が入力してある列を合計欄以外全部選択します。
(2)ツールバーに「昇順で並び替え(Zの上にA、脇に↓)」「降順で並び替え(Aの上にZ、脇に↓)」というボタンがありますので、どちらかを選択します。
(3)「並び替えの前に」と書かれたダイアログが表示されます。「選択範囲を拡張する」にチェックがついていることを確認してください。もし、ここにチェックがついていなければ、チェックします。
(4)「並び替え」ボタンを押します。

※(1)〜(3)の状態です。
※並び替え後の状態です。「交通費」「雑費」「消耗品費」「新聞図書費」「水道光熱費」「通信費」ごとに並び替りましたね。

次は、科目ごとに金額の集計をしましょう。ここが終われば、あとは収支内訳書に転記するだけです。

・科目ごとの金額の集計
(1)科目と科目の間に行を挿入します。
(2)挿入した行の金額欄にカーソルを置きます。
(3)ツールバーの「オートSUM」ボタンを押します。
(4)集計する範囲が自動的に点線で囲まれますので、選択範囲を確認して、もう一度「オートSUM」ボタンを押します。
(5)全ての科目で(1)〜(4)を行います。

※(1)から(5)を行って、合計欄を少し見やすく加工した「経費集計表」です。

あとはご自身で申告書を完成させましょう

科目ごとに集計した経費は「収支内訳書」の経費の欄に転記します。
「売上(収入)金額」と「経費」がわかれば、課税対象となる「所得金額」がわかります。

「収支内訳書」のあと、「確定申告書」の作成をしますが、やり方は、税務署で渡された「確定申告の手引き」に丁寧に書いてありますので、それを見ながらでも、ご自身の手で申告書を完成させましょう。

確定申告書でどのような計算式が必要になるか、税金をいくら支払ったかについては、前回の「はじめての白色申告(1)」をご覧ください。

税務署への問合せ

税務署は、個人で申告する人にも親切に対応してくれますよ。科目がわからないときや、経費にできるかどうか判断がつかない場合、その他わからないことがあれば、税務署に電話や、直接出向いて質問してみましょう。


今回は以上です。次回は、「青色申告をした方が得かどうか」についてお話する予定です。

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著者プロフィール
2001年から在宅ワークを開始。さまざまな業務を経て、2004年からはWEB制作のみで活動しています。手がけるサイトは小規模サイト。成果を出すことを常に意識しながら、制作と運営を請けています。

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