在宅ワーカーと確定申告

在宅ワーカーを2、3年続けると、青色申告にした方がいいのでは?と気になるようになりました。 今回は「青色申告は得なのか」、「青色申告をするためにはどうすればいいか」、「青色申告のための会計ソフト選び」についてお話します。

第4回 青色申告は得なの?

税金面から言えば、青色申告はお得です

初年度に白色申告で所得税を2万2千円納税しました。 もし初年度に青色申告をしていたと仮定すると、納税額はいくらでしょう? 答えは、ゼロ。所得税を払う必要はありません。

以下のような計算式になります。

80万円(売上) − 20万円(経費) = 60万円(青色申告特別控除前の所得金額) 

60万円(青色申告特別控除前の所得金額) − 55万円(青色申告特別控除額) = 5万円(所得金額)

5万円(所得金額) − 38万円(基礎控除(所得から差し引かれる金額)) = ▲33万円(課税される所得金額)

課税される所得金額がマイナスということは、所得税が発生しません。

青色申告は特別控除が受けられます。上記の計算式の「55万円(青色申告特別控除額)」がそうです。
ただし、青色申告特別控除の特典を受けるためには、正規簿記(複式簿記)による帳簿づけが必要です。またあらかじめ税務署に届け出も必要です。

平成17年度から青色申告特別控除額が55万円から65万円に引き上げられました。
青色申告の特典としては、「青色申告特別控除」のほかに、家族への給与を経費として落とせる「青色事業専従者給与」、赤字になった場合に、その損失額を翌年以降に繰り越せる「純損失の繰越」などがあります。

65万円控除されるということは

今回の申告(平成17年度)から、青色申告特別控除額は65万円になりました。 まず、この65万円という金額に、ビビビ!と反応してみましょう。

はじめて白色申告したときに、パートと在宅ワーカーとの税金面での不利を嘆きました。
在宅ワーカーの場合、103万円の壁はまず関係ありません

パートの場合は、
・給与控除65万円がある

対して、在宅ワーカー(白色申告)は、
・給与控除65万円というものがない

青色申告にすれば、この給与所得控除に相当する金額の控除が受けられる、というわけです。

このことがわかってから、白色申告のままでいいわ、と思っていた私は、 「青色申告にしようかな」と考えはじめました。

青色申告をするためには

税務署に届出が必要です。提出期限もあります。

白色申告から、青色申告に切り替える場合は、 確定申告期間内に税務署に申し出て、書類を提出する必要があります。 申告書提出の際、「次回から青色申告にしたい」と申し出ましょう。 必要な書類を用意してくれます。記入する箇所がたくさんあるわけではありませんので、その場で記入、提出が可能です。

提出種類は、以下の通りです。
※リンク先は国税庁のホームページです。手続きに関する全てが記載してあります。申請書や記載方法のダウンロードもできます(PDF)

個人事業の開廃業届出書
所得税の青色申告承認申請書
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法
青色事業専従者給与に関する届出書
給与支払い事務所等の開設届出書
源泉徴収税の納期の特例に関する申請書

なんだか難しそうな書類が並んでいますが、上記全部が必要というわけではありません。 私の場合は、係りの人が「給与を支払う人はいますか?減価償却する資産はありますか?」と 質問してくれまして、その回答によって、書類をピックアップしてくれました。 記入箇所も方法も教えてくれます。

この届け出を済ませると、次回より、青色申告用の確定申告書一式が自宅に郵送されてきます。

青色申告特別控除を受けるためには

確定申告書に正規の簿記(複式簿記)によって作成した「損益計算書」と「貸借対照表」及びその他の必要な明細書を添付する必要があります。

複式簿記が必要という点が、簿記を知らない、よくわからない、という人が拒否反応を示すところだと思いますが、この点は会計ソフトが補ってくれます。

では、どんな会計ソフトを選べばいいでしょうか?

会計ソフト選び

●パッケージ製品にひかれますか?

申告の時期になると、パソコン関連のショップなどでは、会計ソフトが山積みになっていますね。1度は聞いたことがある会社名が印字してありますので、しっかりしていそうだし、安心感があります。

●パッケージ製品のリスク

価格は決して安くはありません。また、お試しができないので、使いこなせないリスクもあります。その点、ネットにあるフリーフェアは無料で利用できますし、シェアウェアであっても、○日間は無料でお試しできる場合がほとんどです。実際使用してみて気に入らなかったら、また次のソフトを探せばいいのです。フリーウェアやシェアウェアを選択肢に含めてはいかがでしょうか?

●IJssel(アイセル)会計

IJssel(アイセル)会計の開発者は個人事業主です。開発者自身が「こんな会計ソフトがあったらいいな」という想いから誕生しました。

こんな会計ソフトとは、「簿記(複式簿記)を知らなくても入力できる、個人事業主向けの青色申告会計ソフト」のことです。

まずは、試しに使ってもらって、気に入ったら、ライセンス料(5,000円)を支払うというシェアウェアです。

新企画として、IJssel会計を使ってすすめた「はじめての青色申告」をアップしました。

結局、青色申告すると得なの?

税金を1円でも払っていれば、経済面では青色申告の方がお得なのは明白です。税金を払っていない場合(赤字であれば)、損失を繰り越せますので、やはり経済的なメリットはあります。

私の場合は、「複式簿記による帳簿づけの手間」と「税金」を天秤にかけました。税金が2万円ぐらいで、在宅ワークをはじめてから2年〜3年までは(申告の回数2回)、複式簿記による帳簿付けよりも税金を支払った方がラクなので白色申告の方が得だと思っていました。

青色申告に切り替えたのは、在宅ワークをできるだけ続けたいと思うようになってからです。税金も少しずつ増えていますので、青色申告に切り替えてよかったと思います。

申告に要する時間は、白色申告も青色申告もあまり差はありません。青色申告になってから会計ソフトを導入しましたので、むしろ時間は短縮したかもしれません。

簿記がわからない場合は、会計事務所に頼むという方法もあります。白色申告ができるデータが揃っていれば、あとはおまかせですので、その費用が税金より安ければお得ということになります。


以上です。連載は今回で終了です。読んでいただきましてありがとうございました。
新企画、IJssel会計を使ってすすめた「はじめての青色申告」も是非ご覧ください。

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著者プロフィール
2001年から在宅ワークを開始。さまざまな業務を経て、2004年からはWEB制作のみで活動しています。手がけるサイトは小規模サイト。成果を出すことを常に意識しながら、制作と運営を請けています。

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